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26.07.16 NEW

活動報告

【サーキュラーエコノミー研究会】食品資源循環関連施設を視察しました。

サーキュラーエコノミー研究会は、食品残渣の再資源化、バイオガス発電、リサイクル産業の集積、使用済み油脂の活用、有機質肥料化等に関する理解を深めるため、福岡県および北九州地域の関連施設を視察しました。

 

今回の視察では、食品残渣を廃棄物として処分するのではなく、エネルギーへの転換や、肥料、燃料等の資源として活用するための現場の取組について説明を受けました。食品産業においては、食品ロス削減、廃棄物処理、脱炭素、肥料資源の確保、地域自治体や企業の連携といった課題が相互に関係しており、これらを現場でどのように解決しているかを学ぶ貴重な機会となりました。

 

  1. 日時:令和8年6月4日(木)~6月5日(金)

 

  1. 視察先:

1)福岡バイオフードリサイクル株式会社

2)北九州エコタウンセンター、九州・山口油脂事業協同組合、株式会社ウエルクリエイト

 

  1. 視察参加企業:

キユーピー㈱、サントリーホールディングス㈱、ハウス食品グループ本社㈱、㈱ロッテ、㈱Mizkan Holdings、Umios㈱

 

  1. 視察内容:

1)福岡バイオフードリサイクル株式会社

福岡バイオフードリサイクルでは、食品残渣を受け入れ、破砕・選別を行った上でメタン発酵に供し、発生したバイオガスを発電に利用する仕組みについて説明を受けました。包装材を含む食品廃棄物についても、前処理により食品部分と不適物を分離し、発酵に適した状態に調整する点が特徴的でした。具体的には、前処理工程において容器包装を破砕した後、加水しながら、遠心分離等により発酵可能な部分と残渣とに分離しているとのことでした。

また、発酵前段階で発酵促進のため再度加水処理を行うため、酢や酒のような液状・低分子化しやすい食品残渣も栄養源として活用できる一方、塩分のように加水分解によって分解・低減しにくい成分については、発酵への影響を考慮する必要があるとの説明がありました。さらに、品質保証の観点から、処理工程における技術的な許容度に関わらず、非対象物の受入量を一定の基準内に管理されており、ここでは受入側の工夫だけでなく、食品残渣の排出側の意識向上や連携も欠かせないことがわかりました。

また発酵後の残渣は肥料製造プロセスにより有価物への転換をされており、固形肥料「ふくのみのり」、液体肥料「ふくのしずく」として農林水産省の肥料登録を受け、低環境負荷の肥料として利用拡大を図られるとのことでした。

このように、食品リサイクルにおいては、排出量だけでなく、食品残渣の性状、異物混入の程度、受入れ後の処理適性、さらには再資源化後の表示や利用先までを含めて考える必要があります。食品残渣を資源として活用するためには、処理技術だけでなく、排出側と受入側の間で受入基準を共有し、安定した品質の原料として取り扱うことが重要であると理解しました。

また、メタン発酵による発電事業は、食品残渣を多く集めればよいという単純なものではなく、原料の組成、ガス発生量、発電設備の能力、消化液や汚泥の処理先などを総合的に管理する必要があります。安定的な原料確保、受入基準の設定、排出事業者との継続的な関係構築が、事業成立の重要な要素であると感じられました。

2)北九州市エコタウンセンター
北九州市エコタウンセンターでは、リサイクル事業者が一定地域に集積することによる効果について学びました。北九州地域では、1997年より開始された北九州エコタウン事業において、これまでの産業基盤、技術、人材、物流インフラ等を活かし、家電、自動車、太陽光パネル、ペットボトル、食品残渣など、多種多様な対象物のリサイクルが行われています。2017年には、当時の今上天皇と皇后両陛下(現 上皇陛下と上皇后両陛下)が、福岡県ご訪問の際に視察されています。また、世界中から多くの政府要人や環境・ビジネス視察団が訪れる国内最大級の環境産業拠点となっています。
説明の中では、リサイクル率を高めるためには、単に破砕して処理するだけでなく、対象物を丁寧に分解・分別し、素材ごとに適切な精錬先・利用先を確保することが重要であることが紹介されました。また、過去に深刻な公害問題を経験し、その克服に取り組んできた北九州地域だからこそ、自治体、事業者、地域社会における環境意識や資源循環への理解が高く、日本全体に先駆けて循環型社会に向けた取組が進められてきたことも印象的でした。
こうした地域的背景に加え、リサイクル関連事業者が集積していることにより、ある事業者にとって不要なものが別の事業者にとって資源となる関係が地域内で形成されています。その結果、原料調達や副産物の利用先確保が効率化され、補助金に依存しない事業としての持続性が高まっている点は、サーキュラーエコノミーを考える上で示唆に富むものでした。

 

3)九州・山口油脂事業協同組合
九州・山口油脂事業協同組合では、使用済み油脂等の回収・利用における現場の課題について説明を受けました。油脂は、燃料や原料としての利用可能性を有する一方で、回収対象となる油脂の種類、品質、需要先との競合、燃料利用上の制約などを考慮する必要があります。資源価値が高まるほど、回収先の確保や品質管理の重要性も高まるため、現場の困りごとを踏まえた制度設計・運用設計が必要であると感じました。

 

4)株式会社ウエルクリエイト
株式会社ウエルクリエイトでは、食品残渣を一次発酵させ、鶏糞等と組み合わせて有機質肥料化する取組について説明を受けました。日本では、主要な肥料原料の多くを海外からの輸入に依存しており、窒素の原料となる尿素や、リンの原料となるリン鉱石等については、国際情勢や輸出国側の政策によって調達が影響を受ける可能性があり、日本の食品産業の根幹である農業における課題となっています。
このような状況において、国内で発生する食品残渣を肥料資源として活用し、食品残渣に含まれる窒素、リン、カリウム等の栄養素を国内で循環利用することは、肥料原料の調達リスクを低減する観点からも有用であると理解しました。食品残渣の再資源化は、廃棄物処理の問題にとどまらず、農業資材の安定供給、地域循環、環境価値の創出にもつながる取組であると感じられました。
特に印象的であったのは、食品企業、自治体、農業者、リサイクル事業者が連携することで、食品残渣が地域の農業資材として再び活用される可能性がある点です。食品産業から生じる副産物を地域内で資源化し、農業生産に還元する仕組みは、食品産業と農業をつなぐ循環型モデルとして、今後の展開が期待されます。

5. 視察結果から得られたポイント
今回の視察を通じて、食品残渣の再資源化は、単に処理技術を導入すれば成立するものではなく、制度対応、品質管理、出口の確保、関係者間の役割分担を含めた総合的な設計が必要であることを理解しました。

特に、食品残渣は、廃棄物処理、肥料、飼料、エネルギー、燃料、環境価値など、複数の制度領域にまたがって取り扱われるため、再資源化の過程では多くの規制や運用上の制約を考慮する必要があります。例えば、原料として受け入れ可能な食品残渣の範囲、異物混入の管理、再資源化後の表示や品質基準、利用先に応じた制度対応など、各段階で確認すべき事項が多く、現場での実装には相当の調整が求められると感じました。

また、食品リサイクルを事業として成立させるためには、食品残渣を排出する事業者だけでなく、収集運搬事業者、リサイクル事業者、自治体、農業者、需要先となる事業者等との継続的な連携が不可欠です。食品残渣を安定的に集め、適切に処理し、肥料、燃料、エネルギー等として有効に利用するためには、原料の品質、処理能力、物流、制度対応、最終的な利用先を一体として設計する必要があります。

この点から、食品資源循環は、個社単独の努力だけで完結させるには限界がある取組であると感じました。個々の企業が排出抑制や分別を進めることは重要である一方で、実際に経済的合理性のある資源循環を成立させるためには、地域内または業界内で、排出側、処理側、利用側が連携し、受入基準、品質管理、費用負担、環境価値の評価方法等を共有する仕組みが必要であると思います。また、このような非競争領域においては、企業間で知見やルールを共有しながら業界全体として資源循環を推進していくことも重要になると考えられます。知的財産部門は、技術やノウハウの保護だけでなく、オープン・クローズ戦略の設計や標準化活動への参画、共同研究やコンソーシアムにおける知財ルールの整備などを通じて、企業間連携を支える役割を担うことができます。食品資源循環のような社会課題への対応においても、知財部門が各社の協業を促進し、持続可能な資源循環の仕組みづくりに貢献できる余地は大きいと感じました。

 

6. おわりに
今回の視察では、食品残渣を資源として活用するためには、技術開発だけでなく、制度対応を見据えた事業設計と、複数の関係者による協働体制の構築が重要であることを確認しました。今後、食品産業においてサーキュラーエコノミーを実効的に進めるためには、個社ごとの取組を積み上げるだけでなく、業界横断的・地域横断的な連携を通じて、持続可能な資源循環の仕組みを構築していくことが必要であると考えます。本視察で得られた学びを、今後の食品産業における知的財産活動、研究開発支援、事業連携の検討に活かしていきたいと思います。

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